2025/07/03
【登別】「知里幸恵 銀のしずく記念館」(登別本町)を運営するNPO法人知里森舎の松本徹理事長の講演会「金成マツと登別」が1日、市民会館で開かれた。
本年度のアイヌ文化講座(市教委主催)の2回目として開かれた。幸恵の叔母で今年生誕150年を迎える登別出身のアイヌ文化伝承者、金成マツの足跡をたどった。
マツが旭川の日本聖公会で布教活動をしていた1918年(大正7年)、当時一緒に生活していた幸恵が登別の両親への手紙で「(マツが)五尺五寸四方の天鵞絨(ビロード)にイカラカラ(刺しゅう)しています。そして亦(また)早いこと早いこと」などと刺しゅうを得意としていた様子を記している。このことから松本理事長は「マツはキリスト教に入信するなどハイカラな人に見えるが、アイヌ民族女性としての作法を手放していない」と指摘した。
幸恵が1922年(大正11年)に死去して7回忌を迎えた1928年(昭和3年)を機に、マツはローマ字でユカラの筆記を開始し、大学ノートで1万ページ以上となるなど功績を残した。つつましく暮らした晩年も「話題が豊富で話がうまく来客が絶えなかった」と登別での暮らしを語った。